
Story
白山温泉ものがたり

大村博士の「掘ってみるか」が
スタートでした。
文章:
一般財団法人 韮崎大村財団
常務理事 大村義之
「博士のつぶやきが実行に」
2001年のある日、大村智博士から食事の招待を受けた時の事、博士から話がありました。
「私も世界的に有名になったが、私を育ててくれたこの地域に恩返しをしたい、何かいいことないかなー」とすかさず、私は「温泉が良いです。韮崎市にはゆーぶるという市営の温泉がありますが、遠くてお年寄りは行くことが出来ないので、この近くに温泉があったら本当に喜ぶと思います」。すると博士は「温泉かー」と一言言ってしばらくすると、「掘ってみるか」とつぶやきました。
「硬い岩盤に一時ストップ」
数か月して、博士は現在の泉源の場所を選定し、掘削作業が始まりました。期待が膨らんだので、博士に尋ねると、「温泉は温度と湯量が問題なので、掘立小屋になってしまうかもしれない。あまり期待しないで待っていてほしい」との事でした。作業は順調に進みましたが、1,000メートルに達した時に大変なことが起きました。それは、とてつもない硬い岩盤に突き当たり、掘削機が壊れたり、掘削の振動で隣家が傾いてしまい、一時ストップしました。これで博士もあきらめてしまうかと思いきや、流石博士です。直ちに環境を整備し、掘削を再開しました。
「地下1,500mから温泉が湧き出す」
それから1年半くらいかかりましたか・・・1,500メートルまで掘削した時です。
ものすごい熱い温泉が排水路にどんどん流れ出てきました。感動の一瞬でした。私達はもったいないので、水路をせき止めて足湯としてしばらく利用させて頂きました。
その後博士からこれだけの温度(44度)と湯量(毎分220ℓ)なら立派な温泉施設を造れるので、土地をまとめてほしいとの依頼があり、泉源の周囲の土地を所有者の方々にご協力頂き、現在の敷地迄広げることができました。
温泉の建設も順調に進み、2005年に白山温泉をオープンすることができました。私達地域住民はパジャマ姿でかけ流しの湯にいつでも入れる、素晴らしい施設を造って頂き、博士に感謝です。